2022年11月23日公開の映画『母性』を観に行ってまいりました。
原作はベストセラー作家の『湊かなえさん』です。
湊さんは2010年に公開された、松たか子さん主演の『告白』の原作者としても有名な作家さんです。
それではさっそく感想を書いていきたいと思います!
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2023年4月7日にBlu-ray&DVD発売になります!!
※ネタバレも含みますのでご容赦願います。
キャスト紹介
『母性』
【配給】ワーナー・ブラザーズ映画
【上映時間】115分
【公開日】2022年11月23日
監督:廣木隆一
代表作:余命1ヶ月の花嫁
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原作:湊かなえ
代表作:告白
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脚本:堀泉杏
ルミ子:戸田恵梨香
清佳:永野芽郁
ルミ子の夫:三浦誠己
ルミ子の実母:大地真央
ルミ子の義母:高畑淳子
ルミ子の親友:中村ゆり
ルミ子の義妹:山下リオ
神父:吹越満
映画『母性』公式ホームページはコチラからどうぞ。
あらすじ
ある事件が起こる。
高校生の女の子が自殺した。
神父の前で懺悔する一人の女性。
女性の回想へと話は進む。
母親の喜んでいる姿を見ることが何より嬉しいルミ子。
愛情を一心に受けて育ったルミ子は、母親を尊敬し愛していた。
絵画教室で一人の男性とルミ子は知り合う。
その男性の描くバラの絵に母親が惹かれたことをきっかけに、ルミ子は男性との距離を深めていき結婚する。
新婚生活は可もなく不可もなく始まった。
ルミ子は愛する母親に料理を教わり、母親を喜ばせるために家を明るく美しくしていた。
ルミ子は妊娠し清佳を出産する。
祖母と孫の関係は仲睦まじく、ルミ子は母親が喜んでいることに満足していた。
ある嵐の夜、ルミ子の家のそばに雷が落ちる。
大木が倒れルミ子の母親と清佳が眠る部屋の窓ガラスを突き破る。
箪笥の下敷きになりつつも孫を助けるルミ子の母親。
異変に気付き駆け付けたルミ子。
停電した際につけていたロウソクの火が倒れ、部屋を炎が覆い始める。
ルミ子はわずかに開くドアに手を伸ばし入れ、娘の清佳ではなく母親の手を掴み助けようとする。
母親にルミ子は諭され、娘の清佳と共に命からがら脱出し一命を取りとめる。
ルミ子の母親は帰らぬ人となってしまう。
ルミ子の旦那方の実家に生活拠点を移す。
義母は非常に細かく神経質な性格で、ルミ子に冷たくあたる日々が続く。
清佳は母親に愛されたい一心でルミ子のサポートをする。
ルミ子に対する義母の言葉に我慢できずに清佳は口論をしかける。
その日の夜、清佳はルミ子に告げられる。
「私の努力をあんたが台無しにしてるのよ」
ルミ子は義母に愛されたい、喜んで欲しいと本気で思っている様子であった。
ある日、清佳は父親の不貞を知ってしまう。
大好きだった祖母の自宅で、ルミ子の親友と父親が暮らしていた。
そして、祖母の死の真実を聞かされる。
清佳はルミ子に祖母の死の真相を聞き、その日の夜に自ら命を絶ってしまう。
みたいなストーリーです。
『ルミ子の視点』と『清佳の視点』とが移り変わる作りになっています。
以下、感想を書いていきたいと思います。
マザコン映画??
最初に感想を少しだけ書いておきましょう。
「前半は面白いけど後半は微妙。でも演技は素晴らしい!」
って感じです。
『告白』のような胸糞映画を期待しているとげんなりしてしまいます…
まずは映画のタイトルにもある『母性』ですが、映画として観たときに「母性を感じる要素は実は少ないのでは?」と思える作品です。
ちなみに母性の意味を調べてみると、
女性のもつ母親としての性質。
母親として自分の子供を守り育てようとする本能的特質。引用:goo国語辞書
と記されております。
実際に映画の中で『母性』を感じさせてくれるのは、大地真央演じるルミ子の母親と高畑淳子演じる義理の母親です。
一方、戸田恵梨香演じるルミ子と永野芽郁演じる清佳は、共に母親に愛されたいと願う二人。
ルミ子に関して言えば、依存度の高いマザコンに近い感覚です。
映画終盤で、女性には2種類いて『母親か?娘か?』みたいな話が出てきます。
ローランドの『俺か?俺以外か?』的なことです。
ルミ子は母親になっても娘のままだったって話しなわけです。
残念ポイント
映画の冒頭、学校の職員室のシーンから始まります。
そこに先生役として永野芽郁さんが登場します。
でも、永野芽郁演じる清佳は自殺しています。
一瞬意味が分からずに、頭の中は『???』だらけです。
ここで「一人二役なのかな??」と思ってしまうのですが、実はこの先生は大人版の清佳だということが最後になんとなくわかります。
要するに清佳は死んでいなかったってことになります。
大事な部分であることは理解しているのですが、見せ方が非常にわかりづらいです。
例えば、清佳を映さずに見せておき、最後に顔が出るようにするような演出をするとか?
色々あると思うんですよね。
高畑淳子の娘が営む居酒屋のシーンも突然出てくるので、「このシーンはなんなんだ?大事なシーンか?いるのか?」と気持ちが悪いです。
もっと言えば、「清佳と一緒に飲んでいるこの男の人は誰?」ってのもあります。
結果的に一緒に飲んでいる人の正体は不明のまま終わります。
恐らく清佳の会社の先輩ってことなんだと思われますが、これも「必要か?」と思わずにはいられません。
居酒屋の店員である高畑淳子の娘と話すってシーンで良いと思うけど…
ほんの少ししか出てこない、懺悔をする教会のシーンもいらないかな。
回想ベースだから、わざわざフリを作らなくても良いような気がします。
細かい不満ばかりですが、時系列が絡むためこれらのシーンのせいで非常にわかりにくくなっているのではと感じます。
最後に一つだけ。
エンディングのシーンでかかるJUJUの曲が「えっ?まさかこの感じで泣かせようとしてるの?」と違和感を感じてしまいます。
演技派揃い
非常に高次元の演技を見せてくれています。
映画としては正直微妙だったけど、このお芝居合戦だけをピックアップするのならば、大満足だったと言えます。
戸田恵梨香
序盤のお嬢様感漂う気品はさすがの一言です。
言葉使いや表情、全てが幸せに満ちたルミ子を見事に演じています。
そして第2フェーズです。
清佳が生まれて以降、時折見せる無機質な目。
めちゃくちゃ怖いです。
事故後の母親と清佳を前にした際の、取り乱した半狂乱のシーンは必見です。
「どんだけお母さんのこと好きなんだよ」的な狂気の部分を感じます。
そして最終形態です。
義母宅へ移り住んで以降の、やつれ期です。
序盤の気品漂うお嬢様とは対極の、疲れ果てて生気のない表情。
これぞ役者!って感じの演技の幅を見せてくれています。
永野芽郁
頑張ってルミ子に愛されようとする姿がとても切ないです。
何しろルミ子にはそれが伝わらないわけです。
祖母の死の真実を知った時の清佳のシーンは、見ているこっちが辛くなってしまいます。
謝って泣きじゃくる清佳をストレートに演じています。
意外性のある演技ではなく、期待している通りの芝居って感じです。
でもそれこそがマッチしている映画です。
大地真央
気品が湯水のごとく溢れ出しています。
麗しきお母様です。
世の中にあんなお母さんやおばあちゃんは存在しないとは思いますが…
所作や言動どれをとっても、一級品のお芝居を見せてくれています。
そして映画内でも隠されている、『死』の真相。
大地真央さんの母親としての死に様を教えてくれています。
キーワードは『ハサミ』です。
高畑淳子
今回の映画『母性』の演技派対決のチャンピオンは高畑淳子さんです。
圧倒的過ぎます。
本当に意地悪で、下品で、民度の低い義母を怪演どころか爆演してくれています。
大地真央さんとの対比効果も素晴らしく、真逆も真逆です。
品性の欠片もありません。
他のお芝居を知らずにあれだけを見てしまうと、本当に下品な意地悪おばさんだと信じ込んでしまうでしょう。
そして、とにかく食べ方が汚い!
役者さんって本当に凄いんだなと改めて感動いたしました。
「あれがお芝居なんだもんなー」と思わせてくれる醜態です。
ぜひご覧くださいませ!
まとめ
湊かなえさんの原作を読んでいないので、映画ver.とどこまで乖離があるのかはわかりませんが、映画としては残念ながら正直今一つです。
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見るのなら、お芝居対決を中心に見てもらうと非常に楽しめるかと思われます。
おすすめポイントは高畑淳子さんの爆演です。
これだけは間違いなく楽しめる映画です。
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それでは最後までお付き合いありがとうございました!!
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