2025年6月6日に公開された映画『国宝』は、吉沢亮×横浜流星のW主演で話題を呼び、公開からわずか2週間で興行収入20億円を突破しました。
歌舞伎の世界を描いた3時間弱の大作ながら、若年層から年配層まで幅広い観客を魅了しています。
この記事では、映画『国宝』のあらすじ、キャスト、見どころ、歌舞伎描写のリアリティ、主演俳優の演技力、構成、監督情報、原作との違いまでを詳しくご紹介します。
それでは、ご覧ください!
キャスト紹介

引用元:映画『国宝』公式サイト
映画『国宝』
【配給】東宝
【上映時間】175分
【公開日】2025年6月6日
【オフィシャルサイト】映画『国宝』公式サイト
【監督】李相日
【原作】吉田修一
リンク
【脚本】奥寺佐渡子
役名 | キャスト | 備考 |
---|---|---|
立花喜久雄(花井東一郎) | 吉沢亮 | 主人公。任侠出身の天才女形 |
大垣俊介(花井半弥) | 横浜流星 | 喜久雄の親友でライバル |
花井半二郎 | 渡辺謙 | 上方歌舞伎の名門当主 |
福田春江 | 高畑充希 | 喜久雄の幼馴染で恋人 |
大垣幸子 | 寺島しのぶ | 俊介の母。喜久雄の育ての母 |
小野川万菊 | 田中泯 | 人間国宝の女形 |
彰子 | 森七菜 | 喜久雄の後年のパートナー |
藤駒 | 見上愛 | 喜久雄の愛人で娘の母 |
吾妻千五郎 | 中村鴈治郎 | 歌舞伎界の重鎮。歌舞伎指導も担当 |

引用元:東宝映画情報公式X

引用元:映画『国宝』公式サイト
立花喜久雄(花井東一郎)/吉沢亮

引用元:映画『国宝』公式サイト
大垣俊介(花井半弥)/横浜流星

引用元:映画『国宝』公式サイト
花井半二郎/渡辺謙

引用元:映画『国宝』公式サイト
大垣幸子/寺島しのぶ

引用元:映画『国宝』公式サイト
小野川万菊/田中泯

引用元:映画『国宝』公式サイト
福田春江/高畑充希

引用元:映画『国宝』公式サイト
藤駒/見上愛

引用元:映画『国宝』公式サイト
彰子/森七菜

引用元:映画『国宝』公式サイト
梅木/嶋田久作

引用元:映画『国宝』公式サイト
竹野/三浦貴大

引用元:映画『国宝』公式サイト
少年 喜久雄/黒川想矢

引用元:映画『国宝』公式サイト
少年 俊介/越山敬達
あらすじ
芸に生きた男たちの壮絶な一代記
物語は、1960年代の長崎。
任侠一家に生まれた立花喜久雄(吉沢亮)は、父を抗争で失い、天涯孤独の身となります。
そんな彼の舞台での才能に目をつけたのが、上方歌舞伎の名門・花井半二郎(渡辺謙)。
喜久雄は半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へと足を踏み入れます。
半二郎の実子である俊介(横浜流星)と兄弟のように育ち、やがてライバルとして芸を競い合う2人。
しかし、血筋・才能・愛・嫉妬・裏切りが交錯し、2人の運命は大きく揺れ動いていきます。
後に国の宝となる男は、任侠の一門に生まれた。
この世ならざる美しい顔をもつ喜久雄は、抗争によって父を亡くした後、上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へ飛び込む。
そこで、半二郎の実の息子として、生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介と出会う。
正反対の血筋を受け継ぎ、生い立ちも才能も異なる二人。
ライバルとして互いに高め合い、芸に青春をささげていくのだが、多くの出会いと別れが、運命の歯車を大きく狂わせてゆく…。誰も見たことのない禁断の「歌舞伎」の世界。
血筋と才能、歓喜と絶望、信頼と裏切り。もがき苦しむ壮絶な人生の先にある“感涙”と“熱狂”。
何のために芸の世界にしがみつき、激動の時代を生きながら、世界でただ一人の存在“国宝”へと駆けあがるのか?
圧巻のクライマックスが、観る者全ての魂を震わせる―― 。引用元:映画『国宝』公式サイト
見どころ①歌舞伎のリアリティと美学
『国宝』最大の魅力は、歌舞伎の舞台描写の圧倒的リアリティ。
実際の歌舞伎演目である『二人道成寺』『曽根崎心中』『鷺娘』などが、本物さながらの所作・衣装・照明・音響で再現されています。
特に注目すべきは、主演2人が1年半にわたって歌舞伎の所作を徹底的に学び、吹き替えなしで演じ切った点。
歌舞伎ファンからも「本職と見紛うほど」と絶賛され、“映画で初めて歌舞伎に触れた”若者層の関心も急上昇しています。
見どころ②吉沢亮×横浜流星の演技力が凄すぎる
吉沢亮は、美貌と狂気を併せ持つ天才女形・喜久雄を、繊細かつ鬼気迫る演技で体現。
特に『曽根崎心中』の舞台シーンでは、観客の息を呑ませる圧巻の表現力を見せつけました。
一方の横浜流星も、血筋に縛られた俊介の葛藤と嫉妬、友情と愛情の狭間で揺れる心情を、静かな熱量で演じ切り、“演技で泣かせる俳優”としての評価を確立。
2人の共演シーンは、まさに“魂のぶつかり合い”。
映画史に残る名演といっても過言ではありません。
見どころ③3時間弱の構成が“長くない”理由
上映時間は2時間54分(174分)と長尺ながら、「あっという間だった」という声が続出。
その理由は、以下のような緻密な構成力にあります。
- 第1幕(少年期):任侠から歌舞伎へ、そして運命の出会い
- 第2幕(青春期):友情と嫉妬、芸の道に生きる覚悟
- 第3幕(中年期):裏切りと再会、芸の頂点と孤独
- 第4幕(晩年):人間国宝としての到達点と“景色”
各章が明確な起承転結を持ち、舞台演目と人生の転機がリンクする構成になっているため、観客は自然と物語に引き込まれます。
“芸道映画”の新たな金字塔
本作の監督は、『悪人』『怒り』『流浪の月』などで知られる李相日(リ・サンイル)。
吉田修一作品の映像化は3作目となり、原作の本質を掘り下げる演出力に定評があります。
『国宝』では、歌舞伎の美と狂気、芸に生きる者の業を、静と動のコントラストで描き切り、“100年に1本の芸道映画”と称される傑作に仕上げました。
原作との違いは映画ならではのアレンジと焦点
原作は、吉田修一による上下巻の長編小説。
映画版では以下のようなアレンジと焦点の絞り込みが行われています。
リンク
項目 | 原作 | 映画 |
---|---|---|
ラスト | 喜久雄が花魁姿で交差点を踊り狂い事故死 | 『鷺娘』の舞台で“景色”を見て幕を閉じる |
娘との関係 | 娘との再会は描かれない | 娘がカメラマンとして登場し、父と対峙 |
女性たちの描写 | 複数の女性の人生が詳細に描かれる | 春江・藤駒・彰子に絞って描写 |
喜久雄の転落 | より過酷で陰惨な描写 | 映画ではやや抑えめに演出 |
映画は、喜久雄と俊介の友情と芸の対比に焦点を絞り、映像美と演技で魅せる構成になっています。
個人的な残念ポイント
評判も上々、かつ面白い作品ではありますが、個人的にちょっと気になる残念ポイントいくつか紹介していきます。
- 序盤に父親の敵を討つ際の、喜久雄と一緒にいた兄弟?っぽい男の子はどうなったのか気になる(仇討ち時に死んでる?)
- 子供時代の喜久雄と俊介の顔の系統が近すぎてわからなくなる
- 吉沢亮と横浜流星の役が逆だったんじゃないか?
- 竹野が良い奴になった理由がよくわからない
- 晩年の彰子が出てこないので気になる
- 春江がヤバい女すぎる
みたいなところでしょうか。
面白くて映像美も含めて素晴らしい作品ではありましが、ここがもっとハッキリとしていれば、モヤっとしなかったかなと個人的には感じてしまいました!
まとめ
映画『国宝』は、単なる歌舞伎映画にとどまらず、「芸とは何か」、「人間はなぜ芸に魅せられるのか」という普遍的なテーマに迫った壮大な叙事詩です。
劇中で幸子が発する「役者は意地汚い生き物」という強烈なパンチラインに全てが凝縮されているような気がします。
主演の吉沢亮と横浜流星の演技力、圧巻の歌舞伎描写のリアリティ、息を呑むような構成美、そして李相日監督の演出により、観る者すべての心を打つ作品に仕上がっています。
原作ファンも納得のアレンジを施しながら、映画だからこそ可能な映像表現と感情のダイナミズムで、「芸」に生きた男たちの激しくも美しい生き様を描き切りました。
3時間弱の長尺でありながら、「もっと観ていたい」と思わせる密度と情熱は、まさに現代映画界の“国宝”とも呼ぶべき一本。
映画『国宝』を観ずして、2025年の日本映画は語れない、そう言い切れる傑作です。
そして、リアルでの歌舞伎も見に行きたくなること必至です!
それでは、最後までお付き合いいただきありがとうございました!!
コメント