別冊宝島編集部『死刑囚200人最後の言葉』を読んでみた!!

俗に言われる『無敵の人』が起こす凶悪な犯罪や事件が、近年目につく機会が多くなってきているように思われます。

凶悪な犯罪を犯した容疑者等は長い裁判の末に『死刑』判決を言い渡されることになります。

 

 

日本の法律上としては最高位の極刑にあたる『死刑』ですが、諸外国では死刑制度撤廃の動きが加速しております。

そんな中ではありますが、日本の2019年の世論調査では約8割の人が『死刑』制度の妥当性を認めているとも伝えられています。

 

そこで今回は、別冊宝島編集部著の『死刑囚200人最後の言葉を読んだものをまとめていきたいと思います。

凶悪な犯罪を犯した彼等の人間性や、死刑制度の持つ役割を考えさせられる内容でした。

それではご覧ください!

 

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極悪非道なラインナップ

 

こちらの『死刑囚200人最後の言葉』にはタイトルにあるように200人に及ぶ死刑判決が言い渡された死刑囚のことが記載されております。

 

  • 【2016年】相模原障害者施設殺傷事件
    植松 聖
  • 【1999年】池袋通り魔殺人事件
    造田 博
  • 【1971~1972年】連合赤軍事件
    坂口 弘
  • 【1983年】練馬一家5人殺害事件
    朝倉 幸治郎
  • 【1988~1989年】連続幼女誘拐殺人事件
    宮崎 勤
  • 【1993年】埼玉愛犬家連続殺人事件
    関根 元
  • 【1998年】和歌山毒物カレー事件
    林 眞須美
  • 【2001年】附属池田小事件
    宅間 守
  • 【2008年】秋葉原無差別殺傷事件
    加藤 智大

 

上記は一部抜粋した事件とその容疑者です。

他にも、『オウム真理教』の麻原彰晃こと松本智津夫をはじめとする13人の死刑囚についてのコラムも掲載されております。

 

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基礎知識

本書の第1章には死刑に関する基礎知識が紹介されています。

簡単に紹介していきたいと思います。

 

死刑はどこで行われるのか?

日本における死刑が執り行われる刑場は全国で以下の7か所です。

 

  • 札幌拘置支所
  • 仙台拘置支所
  • 東京拘置所
  • 名古屋拘置所
  • 大阪拘置所
  • 広島拘置所
  • 福岡拘置所

 

死刑判決になる罪とは?

平たくわかりやすく言うと『2人以上の殺人』と規定されているようです。

しかし、被害者が1人であった場合でも、悪質かつ計画的な犯罪にあたる『強盗殺人』『保険金殺人』『誘拐殺人』のケースでは極刑になり得るとのことでした。

他には、国家転覆をはかる内乱罪、外患誘致罪、列車・船舶・航空機などの往来への妨害罪、大量の死者が出る可能性のあるクーデター系犯罪には死刑判決が出るそうです。

 

死刑囚の一日とは?

死刑囚の一日は以下の通りです。

 

7:00 起床
7:30 朝食
11:50 昼食
16:30 夕食
21:00 就寝

 

懲役刑とは異なり労働がないので、基本的には自由に過ごします。

他には運動の時間、週一回程度のビデオ鑑賞、読書、再審準備、写経、点訳などをして過ごします。

お金に余裕がある場合は、好みの食事や嗜好品をお願いすることも可能です。

 

死刑執行日の目安とは?

死刑執行にあたっては法務大臣が執行命令書にサインをして5日以内と定められています。

執り行う機関の職員は公務員のため、以下の日取りになることが多いそうです。

 

①国会の閉会中の期間
②法務大臣の交代(内閣改造)が見込まれる直前
③年末の仕事納めかその前日
④金曜日

 

これらのタイミングは、死刑執行による『波紋』や『抗議』をかわす狙いもあるのではないかと言われているそうです。

 

立ち会うのは誰か?

死刑執行の立会人は刑事訴訟法に定めがあり、検察官検察事務官拘置所長となっています。

実際にはそれらに加えて、拘置所の職員教誨師医師等を含めて約10名ほどで立ち会うことになるそうです。

 

ちなみに立会人となる拘置所の職員には死刑執行の当日の朝に伝えるとのこと。

前日告知の場合だと情報の漏洩や当日欠勤の可能性があるため、このようになっているそうです。

また、新婚、妻が妊娠中、本人が通院中の職員は担当から外される配慮もあるようです。

他にも死刑囚が立つ床板を作動させるボタンも複数個(3~5)あり、誰のボタンで床板を作動させたかを判別できないようにしています。

 

当日のプロセスとは?

死刑囚への告知も当日の朝8時となっています。

過去には前日、2日前告知といった慣習もあったのですが、自殺をはかった死刑囚がいたなどの事例があったため、当日の告知へとなったそうです。

 

告知と同時に死刑囚は刑場へと連行され、希望がある場合に限り、遺書を書いたり、ちょっとした飲食や喫煙を行います。

その後白装束へと着替え、目隠しをされた状態で絞首台へと進みます。

職員が首にロープをかけ、床板と連動したボタンを職員が押すと死刑囚の身体は床板の開いた先へと落ちていきます。

約15分ほどで医師の診断により死亡が確認されるといった流れです。

 

ちなみに床板のボタンを押した職員には現金約2万円が支給され、その日の仕事は終了となるそうです。

 

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植松 聖

最後の言葉「きちんと説明すれば半分くらいの人はわかってくれると思っています」

本書99ページより抜粋

 

植松の年齢は事件当時26歳でした。

小学生の頃から障害者への歪んだ感情があったらしく、文集等にもその記載が残されているようです。

事件直前には知人等複数名にも、「意思疎通のできない重度の障害者は不幸かつ社会に不要な存在であるため、重度障害者を安楽死させれば世界平和につながる」と話していたとのこと。

逮捕後も一貫してその主張は変えず、偏った思想を強く抱いていたことが伺えます。

精神鑑定の結果では『自己愛性パーソナリティ障害』と診断されており、大まかな症状で言うと『衝動の抑制が効かない』『理性的な判断がつかない』ことが挙げられていますが、刑事責任能力は有するといった判断がなされました。

 

その後の裁判では、弁護側による一審判決の控訴後、植松自ら控訴を取り下げ2020年3月31日に死刑が確定しています。

現状、執行はされておらず目途はたっていません。

 

あまりにも衝撃的な事件だったので強く記憶に残っています。

死刑制度の是非はさておき、この手のある種サイコパスな人間は今後も一定数生まれてくると考えるのが妥当だと言えそうです。

防ぎようもない反面、臭いものに蓋をするかのような対応では亡くなった方が浮かばれないのも事実だし、日本全体で考えていかなければならない問題だと強く感じました。

 

事件概要

2016年7月26日の2:00~3:00頃、神奈川県立の知的障害福祉施設『津久井やまゆり園』の元職員植松が、施設に刃物を持って侵入し入所者19人を刺殺。
それ以外にも入所者・職員計26人に重軽傷を負わせた。

 

林 眞須美

最後の言葉「1日も早く、死刑囚から生還せねばと、自分に負けてしまわぬようにと過ごしています」

本書205ページより抜粋

 

事件が起こった当時連日のワイドショーの画面には逮捕前の林が映し出されていました。

小太りの女性がホースから出る水を過熱する報道陣へかけていたことが印象的です。

 

林は保険外交員の仕事をしており、保険金詐欺を企んだ殺人未遂事件の容疑者としても逮捕されています。

カレー事件以前に行っていた保険金詐欺で使用されていた毒物がヒ素だった経緯や状況証拠により、逮捕されることになります。

 

裁判の結果、2009年5月19日に死刑判決が確定しています。

 

その後も一貫して無罪を主張している林には支援団体も多くあり、今もなお冤罪疑惑も囁かれています。

他にも、事件後の様々な影響により林の実子である長女は自殺しています。

また、長男は近年メディアに出ることも多く、積極的に事件についてや家族の話をしています。

 

長男著『もう逃げない。~いままで黙っていた「家族」のこと~』

 

さぁこの事件の真実は一体どこにあるのでしょうか?

林の配偶者である健治も保険金詐欺により逮捕されていましたが、その際に警察の取り調べの中で「嘘の証言をしてくれ」といったことも駆け引きの中であったとすることを出所後に証言しています。

保険金詐欺を働いたことは事実なので犯罪者であることに変わりはないのですが、状況証拠の積み重ねや消去法による逮捕だったことも事実です。

一刻も早い真実が解明されることを願うばかりです。

 

事件概要

1998年7月25日の17:50~19:00頃、和歌山県和歌山市の夏祭りで提供されたカレーライスの中にヒ素と呼ばれる毒物が混入されており、それを食べた67人が急性ヒ素中毒を発症し、うち4人が亡くなった。

 

加藤 智大

最後の言葉「また長い1日が始まる。ただただ苦痛なだけ。まだ始まってないけど、終わりでいいや」

本書259ページより抜粋

 

事件当時の加藤の年齢は25歳でした。

正規雇用ではない契約社員の労働環境などのバックボーンにより、同様の境遇を持った一部の人間から神格化されるような扱いがありました。

しかし、加藤はのちにこれらの声を完全否定しており、社会的な側面はこの事件に一切関係していないと言っていたそうです。

 

加藤智大著『解+』

 

多数のメディアや有識者等の断定的な孤独や社会情勢の枠組みに捉われることを酷く嫌っていたとのこと。

 

実際の犯行動機は、加藤が傾倒していた『掲示板』の中に現れた、加藤の成りすましや荒らしに対する強固なメンツの確保のためだったと言えそうです。

加藤自身による秋葉原での凶行の予告を掲示板上に記し、それらを本当に実行した事件でした。

また、中途半端に懲役刑になるぐらいなら死刑になったほうが得策との考えもあったようです。

 

裁判の結果、2015年2月17日に死刑判決が確定しています。

その後も控訴を繰り返し行っており、再審請求中であった2022年7月26日に絞首刑にて死刑が執行され死亡しております。
※2021年刊行の本書の中では未執行

 

酷く理解に苦しむ、あまりにもいたたまれない事件です。

加藤自身は、裁判の中で事件の被害者や遺族に対して謝罪の意を表しているものの、凶行により多くの被害者が生まれてしまいました。

また、加藤の実の弟も2014年に「あれから6年近くの月日が経ち、自分はやっぱり犯人の弟なんだと思い知りました。加害者の家族というのは、幸せになっちゃいけないんです。それが現実。僕は生きることを諦めようと決めました。死ぬ理由に勝る、生きる理由がないんです。どう考えても浮かばない。何かありますか。あるなら教えてください」との言葉を残し自殺しています。

 

事件による関連死や模倣犯による死者などを考えると、被害者はさらに多くなる現実が浮かんできます。

2度とこのような痛ましい事件が起こらないことを願ってやみません。

 

事件概要

2008年6月8日の12:30頃、秋葉原で2tトラックに乗った加藤が赤信号を無視して交差点に突入し通行人5人を次々と撥ねた。
その後トラックから降りた加藤は、警察官を含む通行人等17人をダガーナイフで刺した。
一連の犯行により7人が死亡し、10人が重軽傷を負った。

 

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まとめ

いかがだったでしょうか?

 

 

非常に胸糞の悪い事件ばかりですが、個人的にインパクトの大きかった3人の事件をピックアップしてまとめてみました。

未だに多くの死刑囚がいるのですが、裁判の進捗状況やその他の事情により執行がなされないものもあり、遺族感情を考えると死んだから解決する話ではないにせよ、踏ん切りや区切りが付かないのも残酷に思えてなりません。

 

中には、身勝手な殺人を犯したのにも関わらず生に対して執着をみせる犯人もいます。

「死んで当然」などと決められる人間はいないのかもしれませんが、綺麗ごとで片付く話でもないとも感じています。

制度として残ってはいても、実際には『該当者がいない』となる日が来ることを待ち望むしかありません。

 

今回紹介した『死刑囚200人最後の言葉』とは別角度となる、刑務官目線のこちらの書籍もおすすめです。

合わせてご覧ください。

 

 

それでは、最後までお付き合いありがとうございました!!

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pata37

37歳にして遅咲きのニートデビューを果たしました!!
独身、無職、肥満を武器にブログに挑戦します。
面白いこと、お金のこと、音楽のこと、映画のこと、そんな辺りを書いて行けたらな―と思っています。

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