今回の記事のテーマはずばり『終活』です。
現在無職の私PATAが就活もせずに、『終活』について生意気にもおおいに語ります。
高齢の方はもちろん、若い方にもぜひとも参考にしていただければと思います。
他人事ではなく自分事として考えて欲しい内容ばかりです。
長年葬儀業界に携わっていたので、老いも若きも亡くなるさまをたくさん見て参りました。
元気な今だからこそ、より良い未来が安心できるように考えて欲しいと思います。
介護
まずは『介護』について考えていきましょう。
日本は世界トップクラスの長寿大国です。
しかし、寿命以上に重要な考え方が『健康寿命』と呼ばれるものです。
日常的に介護を必要とせず自立した元気な期間を示す年齢です。
健康寿命【男性:72.68歳 女性:75.38歳】
こちらの数値は令和元年発表によるものなので現在と若干の誤差はありますが、平均すると男性で約9年間、女性で約12年間の介護期間を要する可能性が考えられます。
どうでしょうか??
自分、親、兄弟姉妹、おじおば、祖父母、将来を考えてみたときに、誰がどのような状況や状態になっているかなどわかりません。
一般的には歳の大きい順ではありますが、万が一の際に備えて自分の意志で考えた内容を近しい人へ伝える、もしくは書き残しておくことが大切です。
介護方針について
万が一、介護が必要となった場合にどうするか?
・老人ホームなどで見て欲しい。
・自宅で家族に見て欲しい。
・自宅でヘルパーさんに見て欲しい。
例ではありますが上記のようなパターンが考えられます。
ポイントとして重要なのは、『自分の中だけで思っていても伝わらない』ってことです。
自宅で見て欲しいと言うのは簡単ですが、居住スペースの問題であったり、介護をする家族の年齢(老々介護)であったりと、金銭面も含めて自分の一存ではどうすることも出来ない場合も考えられます。
治療方針について
病気を患った際にどうして欲しいか?
・病名や余命を伝えて欲しい。
・病名のみ伝えて余命は教えないで欲しい。
・延命治療をして欲しい。
ほんの一例ですが、上記のようなことを自分以外のご家族が考えなくてはなりません。
このような、難しい選択をご家族に託すのはあまりにも酷であると感じたならば、元気な今こそ考えるチャンスです。
「私が癌になったら~」って会話は癌ではない今だからこそ深刻になりすぎずに話せる会話です。
「縁起でもない!!」と怒り出す人もいらっしゃいますが、いざ癌になった家族を前にして、「延命治療が~」とあなたは話せるでしょうか?
無理な延命をせずに緩和措置のみを行う『尊厳死(リビングウィル)』などの考え方もあります。
しかし家族としては一分一秒でも生きていて欲しいと思うかもしれません。
やはり、それらを事前に家族の共通認識として準備する必要があるわけです。
保険
お次は『保険』についてです。
今現在払い込みが続いている保険については本人にも覚えがあるとは思いますが、払い込み満了を迎えた効力のある保険を忘れている方はいらっしゃいませんか?
引っ越しの都度荷物を整理してしまい、保険証券を紛失してはいませんか?
その際に住所変更の登録はキチンとされていますか?
ここまででドキドキされた方は非常に危険です。
ご家族のためにとせっかく掛けた保険も、加入している事実を知らないご家族には請求するすべがありません。
結果としてお金を捨てたことになってしまいます。
逆もしかりで、保険証券は手元にあり掛けているはずだと当てにしていたものが実は失効していた…なんてことも起こり得ます。
保障内容も含めて、今一度、加入されている保険を今すぐ調べてみましょう。
請求出来たのにしていなかったケースなんかも案外出てくるかもしれません。
また、両親、配偶者、お子様、兄弟と受取人も様々です。
これらの精査も含めて再度チェックしてみましょう。
遺言
ほとんどの方が口をそろえてこう言います。
「遺言書を残すような財産はないよ。あったとしても家ぐらいかな。」
それは果たして本当でしょうか?
遺言にはお金や財産以外にも、これら終活全般の意向を残しておくことも可能です。
例えば、死亡後の臓器提供や献体。
私PATAの同僚が38歳の若さで亡くなった際には、免許証ウラの臓器提供の意思を親御さんが汲みとり角膜を提供していました。
非常に誇らしい同僚と、同僚の思いを尊重して下さった親御さんも立派です。
自筆証書遺言
・パソコン打ち不可
・全文自筆
・日付・氏名・押印をする
・紛失や不備に注意する(無効の恐れ)
公正証書遺言
・公証人に口授し作成される
・現場には証人2人が立ち合いをする
・財産の金額や相続人の人数に合わせた費用がかかる
成年後見人制度
お子様がいらっしゃらない、もしくは縁を切っているご家庭では、成年後見人制度を使用する方法もあります。
後見人の住む管轄の家庭裁判所にて申し立てを行い約2か月ほどかかるとされています。
その後、後見人への月額報酬を支払うこととなります。
葬儀
お次は『葬儀』についてです。
葬儀費用の全国平均はおよそ180万円ほどです。
近年主流になっている規模の小さい家族葬や一日葬や宗教者を呼ばない自由葬での平均費用はもう少し安くなっています。
また、火葬だけを行い葬儀の形式をとらないで行う直葬(ちょくそう)の件数も増加傾向にあります。
地域差もありますが、直葬での費用としては30万円前後が相場です。
この金額を見ていかがでしょうか?
急なご不幸が起こった際に支払うことは出来ますか?
80代前後の親の預貯金を当てにしている50代前後の子供世代では、住宅ローンや教育費にお金がかかる時期です。
50代前後の立派な子供の預貯金を当てにしている、80代前後の親世代。
どちらも今のままで大丈夫ですか?
送られる側も送る側も他人事ではありません。
核家族化の進行により、親子間でのこういった会話はあまりされていない家庭が多いようです。
元気で時間がある今だからこそしっかりと話をすることをおすすめいたします。
家族葬と一日葬について
『家族葬=安い』と認識されている方は注意が必要です。
私PATAがお手伝いしたお客さんの中に、家族葬にも関わらず100人超級の規模のお葬式をした方がいらっしゃいます。
答えは単純で、地元に兄弟姉妹が多くいらっしゃる地主のご家族で、親族のみで100人以上の方がお見えになったというわけです。
当然費用も高額になるわけです。
また、人数が少ない10人未満での家族葬にも大きな落とし穴が存在します。
お葬式をする際に人数や規模での費用増減に関わるものは、飲食と香典返し程度です。
10人でも100人でも火葬料金・お坊さんへのお布施・祭壇・棺等の金額は一切変わりません。
「こんなに少ないのになんで高いんですか?」と怒ってしまう人もいらっしゃいますが、上記のように人数が少なくてもかかる費用が変わらない予算が大半なのです。
「二日間ではなく一日葬で行えば費用が半分になる」ではないんですね。
この理論がまかり通るのならば、棺の蓋は無くなりお坊さんの読経時間も短くなる。
そんなわけはないですよね?
体感的にこれらを勘違いしている人が7割程度はいるように思います。
お葬式はお金がかかると思って間違いありません。
安すぎるものはしっかりと説明を聞いて調べてみる必要性があります。
ほぼ間違いなくなんらかの追加費用が発生するはずです。
遺影写真
お葬式の準備を進めるうえで、故人の写真を選定する必要があります。
昔のような『和服を着た白黒写真で仏頂面』は過去のお話です。
生前のその人らしい写真を選んでおくと良いでしょう。
ピースをしていたり、釣り上げた魚を片手に笑う写真でも構いません。
また、スマートフォンの普及により写真を現像する機会が減っていますが、データでの遺影写真の作成も可能ですので心配無用です。
デジタル加工により洋服等の着せ替えも可能ですので、「顔は良いけど洋服がな…」といった写真でも大丈夫です。
葬儀屋で働いていた目線でのアドバイスがあるとすれば、
・複数の候補を決めておく
・画質の綺麗なものを選ぶ
・これだと決めてしまわずに毎年更新していく
・フォトスタジオでおめかしをして生前遺影を撮ってしまう
この辺りでしょうか。
ぜひ参考にしてみてください。
本籍地を確認しておく
ご不幸が起こるとお医者さんが死亡診断書を作成してくださります。
A3サイズの用紙で、右半分が死亡診断書、左半分が死亡届です。
これの左半分を記入する際に、故人の本籍地を記入することになります。
現在運転免許証には、以前のように本籍地の記載がありませんので心配な方は早めに調べておくと良いでしょう。
空欄の状態で役所へ行くと、役所の方が調べてくださるので実際には不明の状態でも役所への提出は可能です。
しかし、稀に後日「訂正しに来てください」と役所から連絡が来る場合があるので要注意です。
菩提寺(霊園)への連絡
親御さんがお付き合いをされている、菩提寺や霊園の連絡先をしっかりと把握できているでしょうか?
ご不幸が起こった場合には、速やかに連絡をする必要に迫られます。
お寺とお付き合いのない(お墓の準備が出来ていない)方の場合は万が一の際に、
・お坊さんを呼ぶ or 呼ばない
・檀家になる or ならない
・戒名を貰う or 貰わない
を、没後1日前後で決めないといけません。
親が決めることだからと考えがちですが、その後のお付き合いをするのは子供です。
檀家になると、以後のお付き合いも確定し戒名を貰うなどのしがらみも生まれますので、ご家族全員で時間をかけて検討するのが一番です。
喪主の選定
通常一般的には、亡くなった方の配偶者が喪主を務める場合がほとんどです。
しかし、亡くなった方の年齢にもよりますので、親がする場合、子供(義理も含めて)がする場合、兄弟姉妹がする場合と様々なケースが考えられます。
大した問題ではないとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、お葬式の喪主が誰になるかによって、参列される方の顔ぶれが変わることを考えるようにしましょう。
例えば、90歳のお父さんが亡くなった際に85歳のお母さんが喪主を務める場合と、60歳管理職の息子が喪主を務める場合では、お付き合いが全然違ったものになるわけです。
『誰の顔で来るか?』が問題です。
これらのことも合わせて検討されると良いでしょう。
連絡先リスト
両親の交友関係や子供の交友関係をどこまで把握できているでしょうか?
万が一の際に、お世話になったこの人にだけは声をかけて欲しいといった連絡先リストを作成しておきましょう。
家族葬をする場合にせよ、親戚の連絡先を子供が知らない可能性も考えられます。
また、客観的に考えたときに仲の良い友人やお世話になった先輩や上司のお葬式にあなたは行きたくなりませんか?
家族の区切りであるのと同様に、その人と携わってきた全ての人にとっても大切な区切りなのです。
しっかりと顔を見てお礼を言いたいんです。
葬儀後に連絡を受けた人は、例外なく後日自宅へと訪問されます。
これも残された家族としては、結果的に家を空けられないなどの負担となりブーメランのように跳ね返ってくるわけです。
ともすれば、「どうして呼んでくれなかったんだ!」とお叱りを受けるかもしれません。
しっかりと考えてみてください。
相続
お次は『相続』です。
遺言の部分と重なってくるのですが、相続は実際にご不幸が起こってからの話しになります。
一般的には、3か月経過してしまうと全て受け入れた(単純承認)形になるので、負の財産があった場合にはとても大変です。
終活の一環として、財産以外の負の財産である借金やローンの残債についてもしっかり把握できるようにしましょう。
また、年々増加傾向にあるのが相続争いによる裁判の事例です。
皮肉たっぷりの表現として、相続ではなく『争族』と言われているんだとか…
1000万円以下の財産分与で揉めているケースが全体の4割になるそうです。
仲の良かった家族が1人の死をきっかけとし、お金で争う様はあまりにも無残です。
他にも、遺留分での相続や別れた前妻との間の子供など、心当たりのあるヤンチャな人はくれぐれも後のトラブルに発展しないように要注意です。
自分のためではなく、残った家族のためにもキチンと準備しておく必要があります。
ちなみに、葬儀代金は相続した財産から執り行ったとしても非課税なので安心です。
お墓
そして最後は『お墓』です。
今と昔ではお墓に対する価値観や考え方も変わってきているのですが、まず間違いなくどのようにするのかは決めておく必要があります。
経済的な事情により、葬儀後何年と経過しているのにも関わらずご自宅に遺骨がある人も多くお見受けしています。
選択肢は増えてはいるものの大なり小なりお金がかかることに違いはありません。
将来的なことも含めて軽率に判断するのではなく、時間をかけてみんなが納得した形を実現してもらいたいと思います。
また、義理の親との関係性が悪かったりした場合に、嫁いだ先のお墓に入りたくないと考える人もいらっしゃたりするようです…
納骨のタイミング
地域差はありますが、一般的な仏式での納骨の目安は四十九日です。
亡くなった日を1日目と数え、49日目に納骨のタイミングとなります。
実際には49日目を越さない、親族の集まりやすい手前の土日で納骨をされる場合がほとんどです。
お墓の準備が出来ていない方の場合は、四十九日、一周忌、月命日等を考慮して納骨のタイミングを考えればOKです。
宗旨宗派を問わない霊園
檀家になるのではなく、霊園墓地を準備する形です。
お住いの地域差により価格帯も全く違うかと思われます。
気になる方は、お葬式を経験された同世代の方からお話を聞いてみるといいでしょう。
「○○でいくらだった」などの具体的なお話が聞けるはずです。
檀家になる
菩提寺がある方はそのお寺が保有する墓地にてお墓を準備することになるでしょう。
葬儀の際に葬儀屋さんから紹介してもらったお寺にお願いし、そのまま檀家になるケースも考えられます。
檀家になる=その宗派の仏門へ入り仏弟子になるといった意味合いです。
「私は無宗教です」が通用しなくなりますので、しっかりと家族間での相談をしてください。
ちなみに、土地の少ない都心部ではロッカー式のお墓を備えるお寺も増えてきています。
永代供養墓・納骨堂
こちらは、お寺がやっている場合とそれ以外のところが管理運営している場合との両方が考えられます。
宗旨宗派問わず受け入れてもらえることが多いはずです。
○○家のお墓ではなく、不特定多数の方のお遺骨を納める場所になるので、お参りに行けない方や跡取りがいない方などにはおすすめです。
費用もそれほど高額ではないので、経済的な負担も少なめの印象です。
海洋散骨・樹木葬・手元供養
これらは近年人気のあるお墓の新しい形です。
お墓を持たないあと腐れのないスタイルです。
「死んだら海に撒いてくれればいいよ」とおっしゃられている方が多いイメージです。
これも、実際に行うには業者を探し依頼をするわけです。
しっかりとした準備が必要です。
都心部での樹木葬は倍率が非常に高いので、気になる方は抽選の申し込みを生前からしていきましょう。
手元供養は遺骨をパウダー状にして圧縮をかけて加工しアクセサリーなどにするものもあるようです。
最終的に誰が?それをどうするか?までをしっかりと検討してみてください。
分骨
遺骨の一部を分けて納骨する考え方です。
自分のお墓と親のお墓の両方に納骨する。
もしくは一部を形見として手元に置いておくなどの方法です。
色々な考え方のもと納得の上での判断であれば何も気にする必要はありませんが、分骨の際に五体満足の体をバラバラにする性質上、生まれ変わった来世の体が『五体満足で生まれてこないかもしれない』と気にされる方もいらっしゃるので、何卒ご注意くださいませ。
まとめ
いかがだったでしょうか?
「死ぬのにもお金がかかるし色々と大変だね」と思われたのではないでしょうか。
そうなんです。
1人の人がこの世から居なくなるということは本当に大変なことなんです。
少しずつ出来るところからで構いませんので、家族を巻き込んでお話しをしてみてください。
身の回りの不要品の処分も合わせて行い断捨離もしていきましょう。
また、一度きりではなく数年経てば考え方や環境も変わるかもしれませんので、適宜更新していくつもりで問題ありません。
まずはこちらの『エンディングノート』から始めてみると良いかと思います。
リンク
法的な拘束力はありませんが、ここまでの全てが網羅されています。
書けるところから記入していきましょう。
また、こちらに紹介する2012年に41歳の若さでお亡くなりになった流通ジャーナリスト金子哲雄さんの著書『僕の死に方エンディングダイアリー500日』は、終活の全てが記されています。
愛する奥様に一切の負担をかけなかった完璧な終活記録です。
リンク
ここまでは難しいかもしれませんが、参考にしてみてください。
私PATAがおすすめするポイントは『死』を意識する前に楽しく考えておくということです。
それでは最後までお付き合いありがとうございました!!
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