バラエティ番組の企画作りや芸人のネタ作りに参加する縁の下の力持ちである放送作家。
バナナマンや東京03の単独ライブには欠かせない存在『オークラさん』の著書が2021年12月10日に太田出版より発売されております。
その名も『自意識とコメディの日々』。
2022年の1月には大反響の4刷!
東京でのお笑いブームの夜明け前を感じる作品でした。
それでは早速感想を書いていきたいと思います。
自意識過剰と尖り病
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こちらの本はオークラさんの自伝なのですが、ベースはお笑いとの関わりがメインの作品です。
まず知らなかったことが、オークラさんが芸人だったって事実です。
ゴッドタン、めちゃイケ、はねるのトびら等々の作家ってイメージです。
大学生の頃からオーディションへ行きはじめ、コンビ→ピン→コンビを経験するわけですね。
のちに、人力舎所属になりテレビにも何度か出演していたようです。
今ほど芸人が多い時代ではなかったものの普通に凄いことですね。
そして時代は、若手芸人がみんな感染していた『ダウンタウン病』が蔓延する尖り戦国期です。
「俺が一番面白い!」
「他の芸人のネタでは笑わない!」
オークラさんはそんな時期に芸人をやっていたわけです。
オークラさんが書くネタが面白いとの認知も上がりはじめた頃、少しずつ他の芸人のネタを書いたりなんかもスタート。
結果これも評判が良かったものの、自身のコンビ『細雪(ささめゆき)』の相方Aさんとは不穏な空気が漂い始めます。
そして、ある日のライブ。
相方のAさんは会場に現れることなく細雪は解散…
バナナマン
オークラさんはその後、東京のお笑いライブシーンでメキメキと頭角を現しはじめていた頃のバナナマンの設楽さんと仲良くなります。
解散した直後で「どうしようかな?」と宙ぶらりんの状態でしたが、バナナマンの演じるコントの魅力とスタイルに惚れ込み、バナナマンの作家になる決意をします。
ネタ、チラシ、音楽などすべての部分に気合を入れてとりかかったバナナマンの単独ライブ。
いちライバルだと思って観ていた頃とは違った景色に高揚します。
自分の書いたコントをバナナマンが舞台上で行いウケる快感。
芸人としてやっていた頃オークラさんがぶち当たった壁が『演技力』でした。
自分の書くネタに自信はあるものの、それを表現するための演技力が伴わずに挫折した過去があったのです。
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ここからは様々な芸人との企画やライブを経験していくコメディな日々が始まっていくのです。
東京03
今やチケットは即完のコント職人『東京03』とのエピソードも豊富です。
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もともと、ツッコミの飯塚悟志さんとボケの豊本明長さんの2人でアルファルファというコンビを組んでいたところに、大ボケの角田晃広さんが加わり『東京03』が誕生します。
トリオの名付け親はオークラさんです。
人力舎所属の頃より、豊本さんとは仲が良かったものの、強烈な尖り期だった飯塚さんとは口も利かないほど険悪な時期が長く続いていたそうです。
のちに、おぎやはぎの矢作さんの出現により、人力舎内に蔓延る尖り芸人は雪解けを迎え徐々に仲の良い雰囲気へと変わっていきます。
コンビからトリオへと変わる相談も受けていたオークラさんですが、その当時は角田さんの加入を全力で止めていたそうです…
それから半年ほどが経ち、アルファルファに客演の形で角田さんが参加するライブを観に言った際に衝撃を受けることになります。
くすぶっていた飯塚さんは見る影もなく、そこには完成された3人でのコントが。
トリオならではの設定と3人の持つキャラクター性が絶妙で、角田さんの加入を反対していた声を圧倒的な結果でかき消したのです。
その後、正式に『東京03』は結成し、第一回目の単独公演を観たオークラさんは「これは一緒にやらなきゃダメだ!」と実力を認め、一緒にコントを考えていくようになっていくわけです。
まとめ
だいぶ端折って内容をまとめてみましたが、他にもたくさん今をときめく芸人とのエピソードが多く詰まったボリュームのある作品です。
バカリズム、アンタッチャブル山崎さん、マッコイ斎藤さん、ラーメンズ、シティボーイズ等々。
ボキャブラ全盛期から爆笑オンエアバトルの時期の話しは、いちお笑いファンだった学生時代を思い出します。
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一線で活躍している人気芸人にも下積みがあり、お金が無くても逞しく尖って生きていた青春の日々が描かれた、読み物としても非常に面白い一冊です。
ぜひご覧あれ!!
それでは最後までお付き合いありがとうございました!!
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