忘れもしない2022年5月11日に日本全国が悲しみに包まれていました。
太田プロが生んだリアクション芸人ダチョウ倶楽部の『上島竜兵さん』が61歳の生涯に幕を閉じられました。
『芸人』がするべきではないもっとも笑えない不幸な出来事でした。
あれから1年以上の時が流れ、この度奥様の上島光さんが『竜ちゃんのばかやろう』を出版されました。
一周忌を終え、ほんの少しずつ前を向いて歩くことができるようになったことに加え、「竜ちゃんを忘れないでください」との思いから筆を取られたそうです。
早速レビューを書いていきたいと思います。
それではご覧ください!
奥様紹介
【本名】上島光 ※旧姓 廣川(うえしまひかる)
【芸名】広川ひかる(ひろかわひかる)
【生年月日】1970年10月6日
【出身】埼玉県本庄市
【身長】163cm
【血液型】A型
【同期】松村邦明
【ものまねレパートリー】井森美幸、酒井法子、ピンクレディー、荻野目洋子など
上島竜兵さんと同じく太田プロに所属していました。
今回出版された『竜ちゃんのばかやろう』内にて太田プロを退所し、竜兵さんと二人で立ち上げた個人事務所に現在は所属していると記載がされています。
涙腺爆発大洪水
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こちらの『竜ちゃんのばかやろう』を読んでの感想は、本当に心の底から「大馬鹿野郎!!」と叫びたくなります。
『はじめに』から『第二章』にかけて記載されているのが、竜兵さんのお葬式や別れの部分になっています。
冒頭からあまりにも辛くて悲しくて涙が止まらなくなってしまいました。
奥様の心痛を思うと胸が張り裂けてしまいそうになります。
そして、お葬式に際しては盟友『出川哲郎さん』をはじめ、大御所『加藤茶さん』、太田プロの『肥後克之さん』、『寺門ジモンさん』、『劇団ひとりさん』、『土田晃之さん』、『有吉弘行さん』などなど芸人の泣き笑い…
読めば読むほど、こんなにも愛されているのに「なぜ?あんなことを?」と怒りがこみ上げてくるばかりです。
しかし、本の中には何度も光さんの後悔が書かれています。
静かに蝕む心の病
竜兵さんは我々視聴者にテレビで見せる性格以上に、非常に繊細で神経質な側面が綴られています。
ふとした瞬間に将来の展望が見えなくなり涙を流して落ち込む『不安症』の気や『不眠症』の症状があり、過度な飲酒に合わせて、睡眠導入剤を常用していたそうです。
それらに加えて2020年初頭から始まったコロナ禍による仕事の減少、師と仰ぐ『志村けんさん』の死、ロシア・ウクライナによる戦争、気軽に飲みに行けない閉塞感などなど、様々な社会情勢が少しずつではありますが着実に竜兵さんの心を蝕んでいたのではないかと光さんは記述されています。
鬱っぽいなと何度も思う場面があり「病院に行って診てもらおう」と声をかけていたそうですが、竜兵さんは頑なに「行かない」と言い張っていたため結局病院に行くことはなかったそうです。
竜兵さんが亡くなる前夜のやり取りの記載も本書にありますが、この時の光さんの後悔や無念には計り知れないものがあるでしょうね…
自死を選んでしまう人に文句を言っても仕方ありませんが、周りにいた家族や友人などの近い人は、今後も「あの時どうして私は気付けなかったんだ」「どうして早く病院へ連れて行かなかったんだ」といった自責の念を持ち続けてしまう側面が痛々しく綴られています。
病院に行ってれば結果は変わったのか?同じだったのか?それも結局確かめるすべはありません。
また、本書の中でも記述されていますが、竜兵さんが亡くなる約1週間前にファイト一発でお馴染みの俳優『渡辺裕之さん』が自死されたニュースが世間を賑わせていました。
光さんはこの話題を当時の竜兵さんに話せる状況ではないと判断したのですが、竜兵さんのほうから「渡辺さんのように持ち家だといいけど、自分のような賃貸住まいでは迷惑がかかってしまうよね」と声をかけられたそうです。
「そうだよだからダメだよ」と返したそうですが、ブレーキの役目にはならずにかえって引っ張られたのではとも書かれていました。
ちなみに、渡辺さんもコロナ禍における社会情勢の不安から自律神経失調症を患っていらっしゃったそうです。
子分肌の亭主関白
そして本書『竜ちゃんのばかやろう』では竜兵さんと光さんのほのぼのとした夫婦関係も描かれています。
身の回りの世話全てを担当し、竜兵さんは外に出てみんなをいっぱい笑わせる!といった『チーム上島竜兵』としての二人三脚だったようです。
竜兵さんには非常に寂しがり屋な一面があり、家の中で光さんの姿が見えないと「ヒーチャン!ヒーチャン!」と呼んで探して回るんだとか。
竜兵さんにとっては奥さんでありお母さんでもあった感じですね。
そんな反面、竜兵さん自身は年中飲み歩き、光さんは自宅で一人食事をとることが常だったようです。
何度も文句を竜兵さんにぶつけたようですが、簡単に土下座をされてあっという間に終了し、その後も変わらない日々が続くといった具合。
ある時期から、簡素な謝罪の手紙をもらうことも多かったみたいですが、これも同じでその後の生活態度は変わらない。
さすがの小物親分(?)っぷりを発揮していたみたいです。
光さん自身は竜兵さんに『気持ち良く仕事をしてもらうこと』を最優先にと心がけていたようです。
また、2人には子供がおらず、共通の趣味である『お酒』と映画『男はつらいよ』シリーズを楽しんでいたそうです。
情に厚くて泣き上戸で人任せなうえにわがまま。
寅さんにそっくりな竜兵さんに振り回されっぱなしの28年間を過ごされたわけです。
突然降りかかる手続きの数々
あまりにも突然の不幸に見舞われた光さんが本書『竜ちゃんのばかやろう』の中で強く書かれていたことのなかに、万が一に備えて生前にできる身辺の整理は早めにしておくことを推奨されていらっしゃいました。
財産、お葬式、身内、お寺・お墓、生命保険などについてです。
私PATAも長年葬祭業に従事していたので、物凄く同感する話ばかりでした。
お子さんのいらっしゃらない2人には相続の際に、竜兵さんの親や兄弟に財産分与する可能性があったことや、長年かけていた生命保険の請求に際して、今回のケースでは支払事由に該当しない可能性があるなどといったトラブルが発生しています。
相続に関しては遺留分相当のものを生前贈与しておくことや、生命保険に関しては約款や証券を改めて確認しておくことで事前に回避することができた話です。
そうならないためにも、最近何かと話題になる『終活』を真剣に考えていただければ嬉しく思います。
「明日やろうはばかやろう!」なのであります。
葬儀屋の経験からめちゃくちゃ具体的かつ細やかにまとめてありますので、参考までにご一読いただければ幸いです。
まとめ
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本書『竜ちゃんのばかやろう』を読了後に思うのは、悲しくて悔しくて、でも面白くて愛おしくて、心の底から大馬鹿野郎と熱湯風呂に突き飛ばしたくなります。
大好きな光さんに、こんなに悲しい思いをさせて先に行ってしまうなんて、本当にわがままで身勝手な竜兵さんです。
「人間は二度死にます。まず死んだとき。それから忘れられたとき」
「人は、忘れられたときが本当の死だ」
と、生前よく話していたそうです。
悔しいけど、こんなに面白くて偉大な芸人を忘れることなんてできるわけないでしょ?
1961年1月20日に生まれた暦の上で『大寒』と呼ばれる、もっとも寒い(サブい)日に奇跡的に生まれてくる芸人なんて他にいるでしょうか?
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竜兵さんのリアクションも合わせてみてくださいね。
それでは、最後までお付き合いありがとうございました!!
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