『やさぐれ女芸人』として注目を集めている納言の薄幸さんの初著書『今宵も、夢追い酒場にて』が2022年9月10日に幻冬舎より出版されました。
『お酒』と『煙草』をこよなく愛する彼女ならではの視点で描かれた、非常に面白いエッセーになっています。
それではさっそくレビューを書いていきたいと思います。
お酒片手にご覧ください!
プロフィール
【本名】小泉美由紀(こいずみみゆき)
【コンビ名】納言(なごん)
【芸名】薄幸(すすきみゆき)
※『たけしの等々力ベース』内にてビートたけしより「幸が薄そう」とのことで今の芸名になる
【生年月日】1993年1月24日
【出身地】千葉県流山市
【血液型】A型
【免許】普通自動二輪(中免)
【煙草】セブンスター
【所属】太田プロダクション
【養成所】ワタナベコメディスクール13期生
【同期】平野ノラ
愛すべき芸人
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こちらの著書『今宵も、夢追い酒場にて』の中のエピソードには多くの芸人が飲み仲間として登場しています。
・尼神インター 渚
・ダイヤモンド 野澤
・バイク川崎バイク
・納言 安部(相方)
・トレンディエンジェル たかし
・オズワルド 伊藤
・わらふぢなるお ふぢわら
・ゾフィー サイトウ
※芸人の傍ら町田市にある居酒屋『やまよこ鮮魚店』の経営も行っている
・トム・ブラウン 布川
・ネルソンズ 青山
などなど。
その誰もが非常に魅力的であり、どこを切り取っても面白く、そして愛おしく描かれています。
同期・先輩・後輩としての関係性以上に、みゆきさん自身の『可愛げ』も相まっての人間関係が読んでいるだけで伝わってくるような感じです。
また、本文中にも出てくるのですがみゆきさん自身は「文字を読むのが苦手なので、本は読まない。でも、文を書くのは好き。」と言っているだけあって、めちゃくちゃ読みやすい仕上がりになっています。
心地の良いリズムが文章全体にあって、スラスラと読み進めることができます。
自分のプロとしてのルールの中に『仕事以外で日中から酒は飲まない』を掲げていたらしいのですが、こちらの著書を執筆する際には「どうしても飲みたくなってしまう」という理由により、お酒を飲みつつ酔いながらの執筆となっていたそうです。
案外、それぐらいのノリのほうが功を奏して面白いのかもしれませんね。
メンチカツ事件
著書の中で書かれている『メンチカツ事件』。
ある日のこと、バイク川崎バイクさんのリクエストによりみゆきさんはメンチカツを作ることに。
軽い気持ちで調理へとりかかったものの、工程の多さに嫌気がさし途中でうんざりし始めます。
徐々に怒りはお肉屋さんにも飛び火し「あんな面倒臭いもんを低価格で販売しやがって!」とイライラが募る始末。
苦戦の末にどうにかメンチカツを完成させるも、待てど暮らせどBKBさんが来ない…
しびれを切らし連絡をしてみると「俺『場面で!』って言うたやん」とまさかの一言!
ワンコールで電話に出られるぐらいには暇人だったであろうBKBさんをなんとか呼び出しメンチカツを振る舞うも、心無い『サーターアンダギー』のイジリに怒りが…
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みたいなエピソードです。
ほぼネタバレぐらい書いてしまいましたが、大丈夫です。
面白いので安心して読んでみてください!
破天荒すぎるバイト先の仲間
このエピソードは対芸人ではなく、みゆきさんがかつてバイトしていた居酒屋の『サナさん』とのお話。
凡人離れしたぶっ飛び方をしており、22歳の女性とは思えない破天荒っぷりが超絶魅力的に描かれています。
給料日直後のみ『セブンスター』を吸ってはいるものの、節約のため通常時は手巻き煙草。
手間がかかる手巻き煙草のおかげで、バイト中の一服休憩の時間は断トツの長さ。
他にも、寝坊やパチンコが連チャンをしていれば遅刻、からの堂々たる土下座。
同じ事をくりかえす前提で最大限の詫びの印として『前借りとしての土下座』を多用する22歳の女性…
このようなネタには事欠かないサナさんとのエピソードがたくさん綴られております。
明るくて楽しい人柄がありありと伝わってくるお話です。
ぶっ飛んだサナさんを想像しながら読んでみてください!
ロシア男
これまた芸人とのエピソードではないお話です。
ある日、みゆきさんは一人のロシア人男性と知り合いになります。
明らかに困っているであろうその彼に話しかけてみると、どうやら迷子になっている様子。
目的地を教えてあげるとロシア人のその彼は「お礼に絨毯をプレゼントさせて欲しいので連絡先を教えてくれ」と不思議な展開へ…
お礼としての出番が少ないであろう『絨毯』の恐怖から逃れるべく断ったものの、ロシアのウォッカをお礼にとの話になり、連絡先を交換するみゆきさん。
その後、不思議な友人関係へと昇格していき飲みにいく間柄に。
飲み放題がある格安の大衆居酒屋へと入るとロシア人のその彼は、ビールという名の発泡酒を水のようにひたすら飲み続けていきます。
飲み放題の時間を終えたあとの彼からは驚くべき一言が発せられます。
「発泡酒は美味しいけど、発泡酒アレルギーがあります。首に赤いブツブツができてピリピリするだけです。」
このような「怖っ!!」って感じのお話と、ちょっとおセンチなお別れのお話が書かれています。
なんとも言えないプラトニックな不思議な友情にほっこりとすること間違いなしです。
ぜひ、ウォッカ片手に絨毯の上でお読みください!
YouTube
『動画、はじめてみました【TV朝日公式】』チャンネル内の企画として『納言幸のやさぐれ酒場』が毎週17時から配信されています。
著書『今宵も、夢追い酒場にて』の中でも書かれている、尼神インター渚さんとの初めてのサシ飲みについてのお話を動画内でされています。
合わせて要チェックです!
まとめ
たくさんのエピソードの中から、ゆるーくネタバレ有り気味風にいくつかご紹介させていただきました。
他に書かれている内容も、外しなくほっこりしてしまう愛おしい仕上がりになっています。
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読んでいると「どこかでこの感じの本を読んだよな…?」と思い、記憶を辿ってみるとこの本を思い出してしまいました。
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東野幸治さんの著書『この素晴らしき世界』。
アプローチこそ違いますが、どちらにも共通している点は『芸人愛』です。
貧乏だったり売れていなくても楽しく過ごす生き様が描かれており、妙に味わい深くほっこりとさせられてしまいます。
お酒を飲む人も飲めない人も楽しめる一冊になっていると思います。
それでは、最後までお付き合いありがとうございました!!
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