2022年9月30日より公開されました阿部サダオさん主演の映画『アイ・アムまきもと』を鑑賞して参りました。
丁度観たいと思っていたところに、以前勤めていた葬儀屋が監修をしたのかなんなのか、無料チケットをいただけたので助かってしまいました。
ネタバレも含んだ感想記事になりますので、未だ観ていない方で、かつ、前情報なしでご覧になりたい方は観賞後に再度読みに来てくださいませ。
それではご覧ください!
キャスト紹介
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『アイ・アムまきもと』
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
104分
2022年9月30日公開
監督:水田伸生
監督作品:舞妓Haaaan!!!、なくもんか、謝罪の王様、252 生存者ありなど。
原作:ウベルト・パゾリーニ
脚本:倉持裕
役名 牧本壮:阿部サダオ
役名 津森塔子:満島ひかり
役名 蕪木孝一郎:宇崎竜童
役名 神代亨:松下洸平
役名 下林智之:でんでん
役名 平光啓太:松尾スズキ
役名 小野口義久:坪倉由幸
役名 今江みはる:宮沢りえ
役名 槍田幹二:國村隼
映画『アイ・アムまきもと』公式サイトはコチラです。
あらすじ
山形県のとある(設定上恐らく酒田市)市役所内にある『おみおくり係』。
そこに勤務する牧本は、孤独死をした方の最期をお世話している。
自宅に残された生前の写真や、故人らしい物品を頼りに、親族や身内を探して訃報の連絡を入れてお葬式に来てくれるように促す。
引き受け手のいない故人のお葬式を身銭を切って行い、後に考えが変わるかもしれない遺族のためにお遺骨も長い期間『おみおくり係』で保管している。
そんな折に、牧本の上司に当たる福祉局局長の小野口より『おみおくり係』閉鎖の報を受ける。
最後に担当することになった故人の蕪木について牧本は、いつものように仕事にとりかかる。
蕪木の今までの軌跡を辿り、蕪木と縁のあった人物を訪ねて歩く。
嫌われ者だけど好かれている不思議な魅力の詰まった蕪木。
同僚、若かりし日の旧友、路上で暮らした仲間、喧嘩した漁師、元恋人、最愛の娘。
彼らと接する牧本はいつものようにお葬式への参加を促す。
牧本自らのために準備をしていたお墓の名義を蕪木の娘へと譲渡する。
蕪木が好きだった渡り鳥の写真に影響された牧本はカメラを購入する。
いつものルーティンを怠る牧本。
蕪木のお葬式には、牧本が繋いだ沢山の友人や仲間が集まる。
暖かいお葬式の場に牧本の姿はなかった。
みたいな感じです。
牧本のキャラクター性が非常に重要なポイントになっていますので以下感想で書いていきたいと思います。
映画のメインテーマ
さぁここからが感想です。
率直な感想としては『まぁまぁ面白い』ってとこかな。
脚本やメインテーマである『孤独死』や『独居老人』については、本当に考えさせられる話題です。
私PATAはすでに親もいないし、独身だし、兄弟仲も疎遠だしってこともあるのでなおさら他人事とは思えないんですね。
更に言うと実際に10年以上葬儀屋で働いていた経験もあるので、「このまま一人で死んでいくの嫌だな」とか「腐乱死体で発見されるの嫌だな」とか「お葬式誰かやってくれるのかな?」とか、めちゃくちゃ自分自身が考えていたわけでして…
ちなみに嫌なことを言うと、現実世界に牧本のようなおせっかいな物好きはいません…
その設定は最後までのフリなの?
この映画の主人公阿部サダオさん演じる『牧本壮』がちょっとダメかなと。
設定上、発達障害?的なことだとは思うのですが、そもそもそれが「いらないんじゃないのかなー」と思うわけです。
映画のクライマックスではまさかの牧本が交通事故で死んでしまうのですが、非常に悲しいし、不愉快に感じます。
映画『サバカン SABAKAN』でも同様の悲しくて不愉快な交通事故がありましたが、今後映画での交通事故は禁じ手にしましょう。
牧本のルーティンとして横断歩道を渡る前は、『右を見て、左を見て、右を見てから渡る』ってシーンが再三流れています。
発達障害としての所作や言動も含めて、彼が最後に「交通事故で死ぬためのフリだったんかい!」ってなりませんかね?
カメラを買って喜んだ牧本がレンズを覗きながら、ルーティンを怠って横断歩道を渡ったところでドンッ!です。
オチも読めるし、悲しいし切ないしで、無理矢理泣かせようとしてるのかなって急速に冷めてしまいます。
安定の信頼と実績の満島ひかり
宇崎竜童演じる『蕪木』が荼毘に付す際の火葬炉のシーンでは、満島ひかり演じる『塔子』が泣き崩れてしまい、それを諭す宮沢りえ演じる『みはる』。
ここは感動的なシーンでした。
牧本の死の直後のシーンですが、不愉快さをだいぶ取り戻してくれる名演技だったと思います。
お芝居がシンプルにめちゃくちゃ上手い!
あんなに怒鳴っていた神代が…
そして、時を同じくして牧本の火葬を終えた、松下洸平演じる警察の『神代』が牧本のお遺骨を無縁仏が入る納骨堂に納めるんですね。
牧本にいつも振り回されて怒っていたはずの松下が牧本の最期をお世話するなんて、ここも泣かせてくれます。
ただ、演出上致し方ないのかもしれませんが、牧本が奔走することにより成し得た蕪木の暖かいお葬式に相反するように寂しい牧本の最期。
これはどうなんでしょうね。
塔子をはじめ、誰も牧本がいないことを口にもしないし気付いている雰囲気もない演出には無理を感じざるを得ません。
それはないでしょー。
エンディングは◎
それを考慮してなのかはわかりませんが、牧本が納められた納骨堂には蕪木を筆頭に、今まで牧本がお見送りをした故人が続々と訪れて手を合わせるシーンで映画は終わります。
悔しいかなここの演出に関しては、突然の幽霊ではあるものの非常に嬉しくなるような、今までの牧本が報われるようなジーンとくるフィナーレに相応しい名場面と言えるでしょう。
私PATAがお手伝いしてきたお葬式の故人も喜んでくれていればこんなに嬉しいことはないなと、葬儀屋を辞めた身分ではありますが感じた次第であります。
まとめ
『アイ・アムまきもと』の他のレビュー記事を拝見すると、おおむね好印象の意見が多く並んでいました。
牧本の実直過ぎる性格や所作も好意的に捉えられていた方が多いようです。
私PATAとしては、職人気質の頑固おやじみたいな設定ver.での牧本が良いかなと思いました。
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全然本編と関係はありませんが、でんでんさんを見ると映画『冷たい熱帯魚』の名台詞「ボデーを透明にしろ!」が浮かんでしまい、ちょっとだけザワッとしてしまいます。
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人気がないわけではありませんが、公開している映画館の数が少なく、あったとしても上映回数が日を追うごとに少なくなっていますので、早めにご覧ください!
それでは最後までお付き合いありがとうございました!!
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