ハリウッドで大成功を納めた初めてのアジアのスーパースター『ブルース・リー』が創始した超実戦的武術『ジークンドー』。
幼き日に心を奪われ虜になってしまった一人の青年『石井東吾』。
そんな石井東吾さんが、自伝『陰と陽 歩み続けるジークンドー』を株式会社Gakkenより2023年1月3日に発行いたしました!
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格闘技系YouTubeの中に突如彗星の如く現れた東吾先生のその歴史を紐解いていきたいと思います。
それではご覧ください!
プロフィール
【名前】石井東吾(いしいとうご)
【生年月日】1981年3月12日
【所属】JEET KUNE DO ASIA JAPAN
【道場】池袋、大宮、舘林
【オンラインサロン】ワンインチサロン
【YouTube】石井東吾 Togo Ishii ワンインチチャンネル
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強過ぎる信念
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こちらの自伝『陰と陽 歩み続けるジークンドー』を読んでみての感想として、一番圧倒的に感じた部分は『強過ぎる信念』に驚かされたというところでしょうか。
今ほどインターネットの普及がしておらず、情報を簡単に手に入れることが出来なかった時代において、ただひたすらに「ジークンドーのインストラクターになる!」という夢を追い求めるストイックさにただただ脱帽です。
同級生が進学や就職をしていくなかで、なんの根拠もない段階でそれを口にし上京を決意するなんて僕には考えられない…
武術や格闘技が好きな僕自身、「どうやってこの人たちは食っているのだろうか?」とか「どのタイミングで脱サラしたんだろう?」と疑問に思うことが多々あったのですが、今回『陰と陽 歩み続けるジークンドー』を読んで思い知らされたのは、ここまでクレイジーなほどに武術に憧れ続ける、ある種の変態的な境地にまで募らせた思いがあってこその今の姿なんだろうなということです。
後述しますが、師匠にあたる『ヒロ渡邉さん』に積極的にアプローチしプライベートスチューデントに至るまでの経緯であったり、アルバイトや仕事をしながらの稽古や練習に割く時間の捻出、生活の全てをジークンドーに捧げる覚悟がないと出来るわけがありません。
お金の話は本書の中に書かれてはいませんが、お金のことを気にせず自分だったら出来るだろうかと本当に考えさせられてしまいました。
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ここまでの『ジークンドーに全てを捧げる覚悟』に則った行動こそが、今の東吾先生の強さであったり、人を惹き付ける魅力だったりするのかなと思わされる一冊でした。
東吾先生であれば、ジークンドー以外の分野でも「これだ!!」と思える夢が仮にあったなら、圧倒的かつひたむきに実直に積み上げていく行動力で大成功を成し得ていたのではないでしょうか。
二人の師匠
東吾先生が心酔してしまったジークンドーを語る上で外すことの出来ない偉大過ぎる師匠が二人登場します。
まずは『テッド・ウォン師父』です。
そして東吾先生の直系の師匠『ヒロ渡邉先生』です。
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テッド・ウォン師父からのプライベートレッスンに、ヒロ渡邉先生と共に帯同することを許されるまでに至った東吾先生の喜びと言ったら筆舌に尽くしがたいものがあったでしょうね。
テッド・ウォン師父は晩年のブルース・リーのスパーリングパートナーとして、ボクシングやフェンシングの身体構造などをジークンドーに取り入れることに寄与していた人物です。
テッド・ウォン師父は60歳を過ぎてもなお進化を止めることはなく、科学的な理論や根拠に基づいた身体構造の持つ特性を最大限に引き出す戦略を、徹底的にヒロ渡邉先生や若き日の東吾先生に厳しくも正しい技術や体系を伝えていたようです。
最近ではヒロ渡邉先生もYouTubeに登場することが多くなり、その天真爛漫な明るいキャラクターからは想像もつかない超絶なテクニックも披露して下さっております。
ジークンドーについて
ここで、本書『陰と陽 歩み続けるジークンドー』とは若干脱線してしまうのですが、ジークンドーについて記しておきたいと思います。
ジークンドーには創始したブルース・リーの環境や思想に伴って、前期、後期のような違いがあり、現在大きく分けて二分された状態になっています。
ダン・イノサント系統
ダン・イノサントが継承した系統。
シンプル・ダイレクト・ノンクラシカルを基本概念とし、不確実性極まる様々な状況を想定して截拳道を「究極の真実」と定義するに至ったリー自身の「Be Formless, Shapeless, Like Water」「When one has reached maturity in the art, one will have a formless form」「Walk On」などの言葉に表される思想や精神と截拳道の「以無法為有法 以無限為有限」の武道哲学を踏襲し、流れる水の如く、留まる事無く、自らを進化させ、究極的には形無き形・法無き法へと昇華させる限り無き道を歩み続けるという真義の元、振藩功夫を含む截拳道以外にもカリ、シラット、USA修斗を稽古し、あらゆる武術や格闘技を研究し対策していたリー同様、実戦性を重視して様々な局面に対応すべく実践を重ねている。引用元:截拳道Wikipedia
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ダン・イノサントから教わったヌンチャクを映画のアクションに取り入れた話は有名なエピソードです。
日本ではイノサント系統のインストラクターとして中村頼永さんがいらっしゃいます。
元V6の岡田准一さんへジークンドーをはじめ、修斗、カリなどを指導したことでも有名です。
そして、東吾先生が行うジークンドーの系譜がこちらです。
テッド・ウォン系統
テッド・ウォンが継承した系統。
フェンシングとボクシングの科学的な原理を抽出したリードパンチ「ストレートリード」を核として、フットワークを多用したリード側での攻撃が大部分を占める。
振藩功夫の頃にあった接触法の技術は外されている。
晩年、ブルース・リーはフェンシングではアルド・ナディ、ボクシングではジム・ドリスコルやジャック・デンプシー、エドウィン・ヘイスレットから多くの影響を受けている。引用元:截拳道Wikipedia
と、このような形となっています。
実際にどちらも創始者であるブルース・リーが直接的に関わってきた人物が引き継ぎ体系化してきたことにより、『どちらも本家』的な若干のピリピリとしたタブーのような緊張感があるのかもしれません。
ちなみに、テッド・ウォン系統の日本代表であるヒロ渡邉先生は、イノサント系統にて修業を積んだのちにテッド・ウォン師父と出会い、ゼロからジークンドーを勉強しなおしたと語っておられました。
いつの日か一つの武術として再構築される日は来るのでしょうか…
喧嘩すんなよ…
まとめ
脱線した話も多く書いてしまいましたが、東吾先生の『陰と陽 歩み続けるジークンドー』ですが、熱くて実直な東吾先生のジークンドーに対する情熱が感じられる一冊でございます。
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もうちょっとざっくばらんにプライベートのことを書いてくれるとファンとしては嬉しかったのですが、ジークンドーに対する真面目な気持ちがこういった内容にさせてしまったのは当然の結果だったのかもしれません。
東吾先生の人生の全てがジークンドーの日々の研鑽や修業なのでしょう。
それでは、最後までお付き合いありがとうございました!!
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